「受身」型から「問題解決」型へ
  「ラーニング・コモンズ」開設

釧路短期大学

 ラーニング・コモンズとは、 学び(learning) のための 共有空間(commons)とい う意味で、学生が自由に自主 学習できる空間のことをいい ます。本学では、学生の「学び」 を深めるとともに、グループ ワークなどによる学生の「社 会性」を高めるため、自発的 に学習できる環境を整備しま した。
 多様な学習形態に対応でき るように、自由に組み合わせ ることができる可動式のテー ブル・椅子を準備しました。 また、キャンパスの様々な場 所で利用できる無線LAN (Wi-Fi)を敷設、文書作成 やプレゼンテーションに使用 するモバイルPC( 30 台)で 様々な情報交換を容易に行う ことができます。プレゼンや ディスカッションに利用でき るインタラクティブプロジェ クタ、大型ディスプレイも設 置、展示や発表には、書画カ メラやワイヤレスインカム セットを利用可能です。また、 専門的な計測器(糖度計、塩 分濃度計)の貸出もします。
インタラクティブプロジェクタ(電子黒板)を使用した学生は「情報伝達がスムーズ に、また臨場感のあるプレゼ ンができる」と喜んでいます。
 学生が、学外活動を含む実 践活動の企画立案、練習、発 表などを活発に行うことがで きる場所を提供することで、 従来の講義を受けて知識を得 る「受身」型から学生が主体 的に学ぶ「問題解決」型へと 向かう大学教育の大きな流れ に沿った教養教育を推進しま す。
 本学のラーニング・コモン ズ開設は、「平成 25 年度私立 大学等教育研究活性化設備整 備事業」(文部科学省)に採 択され、実施した事業です。
 「私立大学等教育研究活性 化設備整備事業」は、教育の 質的転換、地域発展、産業界・ 他大学等との連携、グローバ ル化などの改革に全学的・組 織的に取り組む私立大学等に 対する支援を強化するため、 支援する「私立大学等改革総 合支援事業」(日本私立学校 振興・共済事業団と文部科学 省が共同実施)の支援対象校 に選定された私立大学等にお いて、取組の実施に必要な設 備費がある場合、私立大学等 教育研究活性化設備整備費補 助金により補助するもので す。

地域理解教育
  ―課題発見と提案・展開―

釧路短期大学 生活科学科

 今年1月、生活科学専攻の 二年生がキャンパス周辺で、 動きました。城山小学校と清 明小学校にお願いし、「くし ろふるさとカルタ交流会〜釧 路のことをもっと知ろう〜」 を開き、また緑ヶ岡地区を調 べ、フリーペーパー『緑ヶ岡 の情報紙』を手づくりのうえ、 配布したことです。
 どちらも必修科目の授業で とりくみ、「人をつなぐ」「地 域特性を広める」「地域資源 をいかす」ための、地域にた いする《はたらきかけ》です。 なかでも「人をつなぐ」をつ うじ、「地域は若者を育て、 若者は地域を元気にする」役 割分担に、一歩ふみこむ試み となりました。
 生活科学専攻の学びのポイ ントは、「地域を『知り』『愛 し』『係わる』ことができる 人材養成」です。知る、課題 発見、さらに解決策を考え実 践する、地域理解教育を進め ています。

病態に合わせた献立を作成する

釧路短期大学 生活科学科 食物栄養専攻

 臨床栄養学は、生活習慣病 として代表的な、糖尿病・高 血圧・脂質異常症や、消化管 疾患、腎疾患などの病理を理 解し、治療方法、食事療法を 系統別に学んでいきます。そ こから食品のもつ栄養素と機 能性を理解し、その疾患に適 した食事の提供や支援など栄 養計画書を作成する能力を養 います。2年生になると献立 作成と調理実習をして自分た ちで試食し問題点などを確認 していきます。
 栄養士として高い専門性を もち、食事療法、栄養療法を 決定し実践する能力を修得 し、今は医療機関や福祉施設 の栄養士をめざして学んでい る学生たちは、やがて現場で 活躍するための基礎づくりに 励んでいます。

絵本『スイミー』のお話とピアノ

釧路短期大学 幼児教育学科

  7月 26 日(土)に幼児教育 学科音楽ゼミと地域教育研究 ゼミの企画による「絵本『ス イミー』のお話とピアノ」を フィッシャーマンズワーフ MOOの植物園EGGで実施 しました。主に乳幼児とその 保護者を対象に、魚つりの遊 びと『スイミー』の朗読を行 いました。
 魚つりの遊びでは、おなか を空かせたマグロから守るた めに、子どもたちに赤と黒の 魚を隣の海へ逃がす手伝いを してもらいました。『スイ ミー』の朗読では、大きなス クリーンに絵本を写し、話の 内容に合わせた音楽をピアノ で演奏しながら読み聞かせを 行いました。
 当日は約 60 名の方にお越し いただき、盛況のうちに終了 しました。幼児教育学科では、 今後も子ども向けの企画を実 施していく予定です。

学生に身近な図書館を
  学生図書委員会「ライブラリアン」
   の活動

釧路短期大学附属図書館

 釧路短期大学附属図書館で は図書館ボランティア組織と して、学生図書委員会「ラ イブラリアン」が活動して います。他の短期大学図書館 や大学図書館に先駆けて、平 成十一年十月に組織化されま した。選書・資料整理・広報 など、学生の図書館利用や読 書を推進するさまざまな活動 を、図書館職員と共におこ なっています。
 選書ツアーやブックハン ティングと呼ばれる、書店に 出かけて直接店頭から本(絵 本や文芸書)を選ぶ活動や、 釧路短期大学に関連した新聞 記事の切り抜き作業などにも 取り組んでいます。また今年 度はラジオ放送局FMくしろ を利用しておこなっている、 本学の市民向け公開講座や図 書館を紹介するCМに、原稿 の読み手として参加していま す。
 そのほか図書館で受け入れ ている釧路管内の市町村広報 から、地域のイベント情報を 拾い上げて、図書館入口の ボードに手書き掲示の『ライ ブラリアン・ニュース』を作 成。また書評、詩やエッセイ を掲載した図書館情報誌『エ スキース』という小冊子の編 集・発行を手がけており、原 稿の執筆や編集はもちろんの こと、表紙も含めてカットも 学生が担当しています。
 学科・専攻の違い、学年の 違いを越えて、学生同士が親 しく交流できる機会(茶話会) を定期的に設けて、互いの連 帯感を形成しています。
 図書館には各学科の教員や 図書館長・図書館職員で構成 される図書委員会もあります が、加えて学生の意見を直接 捉えて、図書館サービスに反 映できる「ライブラリアン」 の存在は大切です。学生の積 極的な学習、豊かな読書生活 を支援していく図書館活動の 一翼を担っています。

道東文化塾2014
    佐々木与兵衛家の近代

釧路短期大学 生涯教育センター

 本学は昭和39年に開学 し、50周年を迎えました。 応接室に置かれた佐々木正雄 像の銘板に、「釧路市に緑ケ 岡学園設立の企画あるを聞い て率先約1万5千坪の敷地を 提供した」と、あります。生 涯教育センターの道東文化塾 でその一講座に、「佐々木与 兵衛家の近代」をあて、寺島 敏治さんに講演をお願いしま した。
 本学のキャンパスは、旧別 保原野の《ノドもと》に位置 します。また釧路川に合流す るサルシナイ川の源流部にあ たり、流域の木材を釧路川に 運び出す、最適地でありまし た。佐々木正雄理事長(二代 目)が、佐々木与兵衛翁の受 給地を継承します。函館港出 身の佐々木家が、別保原野の 枢要地を獲得し、しかも住民 の足となる愛北橋一基を 「佐々木与兵衛所有」とまで いわしめた経緯は、これまで 説明されていない点です。広 大な原野のうち、もっとも市 街地に近い有意な地を受けた 意義。寺島講師の解釈は、《硫 黄の精錬と搬出に、石炭と鉄 道・釧路川の川船輸送をむす びつけた、安田財閥の構想》 の存在を、指摘したのです。 安田財閥は、川湯・標茶に硫 黄の採取と精錬の核をつくり ます。のみならず釧路川河口 にも、港・倉庫に建築・架橋 用材の採取と輸送ルートを考 えていたことになります。
 佐々木家の理解といえば明 治40年初頭の記録で、牧場・ 搾乳業の記載がみられます。 それが理解の基本となってい ました。でもそれに先立つ時 代、実は安田財閥の描く地域 グランドデザインに呼応す る、佐々木家の釧路での活動 がはじまっていたのです。時 うつり人かわり、そこで見え てきた新たな観点です。